この旅で一番気になっていたパーティー、それはギリ・アイル島にある
「Speace Bar」でのフルムーンパーティーだった。
ビーチにいきなり立ち上がった極彩色のキノコを思わせる、サイケなDJブース。焚き火から上がる火柱。その明かりの中で水着で踊る人たち。満月の夜。その写真の一遍を見るだけでもワクワクする。
ギリ・アイルの海岸へついたのは夕方。
今夜パーティーがあるなら、日が暮れるまでに島の反対側にある「Speace Bar」近くに宿を取りたかった。
チドモとは島での唯一の交通手段である、一頭立ての馬車のような乗り物だ。
タクシーの初乗りが50円のこの国で日本円にしてチドモの乗車料1000円弱はかなりな観光客値段の痛い出費だが、泥濘の悪路をコロコロのスーツケースを引いて1時間も歩く体力と時間がない。
クタなどの都会に比べると、観光のみで暮らしを建てている島の物価は高いのだ。うっかりしていると日本よりも高いものを買いそうになったりする。気をつけなければ。旅はまだまだ続く。
港の海岸通で待機しているチドモに話をつけて島の反対側まで行ってもらうように告げ、私たちは荷台に乗り込んだ。
デコレイトされたポニーも可愛い。この旅ではめずらしく観光客気分でご機嫌である。
「Speace Bar」の近くに行きたいと話すと、御者の男の子は「Speace Bar」はもう閉鎖されたと言う。
「ぎええええーーーー?????」
その言葉にK織が奇声を上げた。
この旅で1番楽しみにしていた「Spease Bar」がもう無いだなんて!!!!
「え?マジ?リアリー?マジマジーーーー?」
K織はうろたえて日本語と英語がごっちゃになっている。
「どっちにしろ、今日のパーティーは島の向こう側じゃなくて、こっち側だ」
男の子が言うには、島の北側(スペイスバー側)と南側(港側)は別々の曜日にパーティーをやっていて、今日は南サイドの日だと。
「じゃあ行ってもしょうがないじゃん!」
様々なネット情報やら旅のガイドブックが反乱している世の中だが、こういうローカルな場所の情報は、確かな事が何一つ出て来ない。
実際に、歩いてたった1時間足らずの島の北側のことを南側の現地の住民に聞いたって、よく知らないと答える。
しかたがないので、チドモに乗りながら急いで行き先を変えてもらい、男の子に近くで安い宿に連れて行ってくれと頼む。
そして、、、彼が連れて行ってくれた場所が、、、、
広い草むらに一角だけ住居がある。
住居といっても小屋の群れと言った方が妥当だ。
日本史の教科書に載っている、高床式住居を思い出してほしい。
私はこれでも、学生時代に山登りをしていたので山小屋には慣れている。
テントにも平気で寝るし、比較的アウトドア仕様に耐えられる。
ハズだった。。。
高床式住居のハシゴを上がって、枠が歪んで閉まり切らない木の扉を開けると、まだ日が落ちてないのにも関わらず薄暗がりの室内に、所々破れかかった虫除けの蚊帳がついたベッドがひとつ。
その蚊帳が野球場のネットのようなミドリ色なのだ。
「なんでミドリ色?もう少しマシな色があるやん、、?」
そのミドリ色を、点けても暗いままの裸電球がぼんやり照らしている。
まんが日本昔話に出てくる、やまんばの家のようだ。
その奥に、同じく閉まらないままの木のドアが見えた。
覗いてみるとシャワーとトイレが一緒になった土間のようなスペース。
やはり、小さい電球がひとつで中は防空壕のように暗い。
便器には便座がない。シャワーは木の柱に括り付けてあるホースに申しわけ程度の蛇口。
子供の頃、友達と探検した廃墟を思い出した。
夜逃げした一家の家の跡に野良猫が住みつき、猫屋敷と呼ばれていた家だった。
「絶対に夜トイレには行けない、ここはムリ」
バンガローのオバちゃんオーナーに、他を探しますと言うつもりで、土間から部屋に戻ると、K織が早口の英語ですでにオバちゃんと値段交渉を終えているところだった。
「一泊1500円で2人分。決まったよ」
と、K織がワタシをみてニッコリ笑った。
「りーあーりー?」(–0–;)
心の中でつぶやくワタシであった、、、、、
つづく
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sari (金曜日, 09 5月 2014 01:04)
超オモシロイ!!思わず声に出して笑ってしまいました 笑
早く続きが読みたーい!
soonoomii (金曜日, 09 5月 2014 20:30)
sariさま
ありがとーござります!
がんばって続き書くよ〜☆^^